腸内疾患には驚かせられる:
腸内細菌と心血管疾患、生活習慣病、動脈硬化性疾患、大動脈瘤、心房細動、高安動脈炎、肺高血圧症、皆関連があり、原因菌も同定されている。
TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)の血中濃度が高いほど、心血管イベントが多い。
血中TMAO濃度はBNPとは独立した予後不良因子であった。
日本内科雑誌113巻9月号の1525-1532ページに詳細がある。
2024.09.24更新
腸内疾患には驚かせられる:
腸内細菌と心血管疾患、生活習慣病、動脈硬化性疾患、大動脈瘤、心房細動、高安動脈炎、肺高血圧症、皆関連があり、原因菌も同定されている。
TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)の血中濃度が高いほど、心血管イベントが多い。
血中TMAO濃度はBNPとは独立した予後不良因子であった。
日本内科雑誌113巻9月号の1525-1532ページに詳細がある。
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2024.09.24更新
不健康な生活習慣により腸内細菌叢のバランスが崩れると、腸内細菌により心臓病を誘発する物質が産生されてしまう可能性があるという。デンマーク・コペンハーゲン大学などの研究。
人間の腸には、腸内細菌叢とよばれる何兆もの細菌がある、人間の健康にプラスとマイナス、両方の影響を与える可能性がある。バランスが取れているとき、腸内細菌は健康を促進する多くの化合物を生産する「体内の化学工場」として機能する。しかし、不健康な生活習慣(質の低い食生活、喫煙、運動不足、病気)によりバランスが崩れると、心筋梗塞、狭心症、心不全などの遺伝的リスクの高い人々に複数の非感染性慢性疾患を引き起こすおそれのある物質を生成する可能性がある。
研究者らは、慢性心疾患の人々において、腸内細菌叢が変化していることをすでに明らかにしており、さらに、不健康な微生物叢によって生成される化合物、例えば、トリメチルアミンのような肝臓でTMAOに代謝されて動脈硬化を引き起こす元になる化合物を特定している。
しかし、腸内細菌叢の変化に関するこれらの発見は、何らかの薬を服用中の患者を対象とした研究でみられたため、異議を唱えられている。心臓病の患者には数種類の薬が用いられるが、いずれも腸内細菌叢を乱すことが知られている。ゆえに、心血管障害を持つ人々の腸内微生物叢に影響を与えたのが実際には何であるのかは不明だった。
さらに問題を複雑にしているのは、心臓病が過体重や2型糖尿病の初期段階と並行して発症することが多く、腸内細菌叢が乱れていることも特徴であるという事実だ。
今回、研究の対象としたのは、①健康な人、②肥満と2型糖尿病だが心臓病でない人、③心筋梗塞、狭心症、心不全のいずれかの患者。デンマーク、フランス、ドイツに住む計1,241人の中年の人が集められた。研究者らは、約700の異なる細菌種を定量し、腸内細菌叢におけるそれらの機能を推定。そして「腸内化学工場」に由来するこれらの化合物の多くを含む血液中を循環する1,000を超える化合物と比較した。
「これらの腸内細菌と血液中の化合物の約半分は、投薬治療によって変化しており、心臓病や、心臓病の診断前に発生する糖尿病や肥満などの初期の病気の段階とは直接関係がないことがわかりました」と研究者のペダ-セン教授は述べている。
「残りの半分のうち、腸内細菌叢の障害の約75%は、患者が心臓病に気付く何年も前の、過体重と2型糖尿病の初期段階で発生しました。」
しかし、初期の腸内細菌叢の変化は、その組成と機能に特定の心臓病関連の変化を示した心臓病患者で持続していた。代謝異常の初期段階と診断された心臓病の後期段階の両方で、病気の細菌叢は細菌細胞と細菌の能力の喪失によって特徴づけられた。さらに患者らは、短鎖脂肪酸などの健康促進をする化合物を生成する細菌の種類が少なく、特定の食事性アミノ酸、コリン、L-カルニチンから不健康な化合物を生成する細菌の種類が多いことを示した。血液中の化合物の分析は、腸内細菌叢の不均衡を反映していた。
心臓病患者における腸内細菌叢と血中化合物の変化に関する知見は、同時に掲載されたイスラエルの研究でも検証され拡張されたという。
「心臓病患者で起きている腸内細菌叢の主要な障害や変化は、心臓病の症状が始まり診断を受ける何年も前から始まっています。これらの変化は薬物治療によっては説明されません。」
今回の研究の主な制限は、これが因果関係ではなく関連性を報告しているに過ぎないということである。けれどもペダーセン教授は、過去10年間に、特定の微生物叢由来の化合物に対する多くの細胞および動物実験が、今回の研究で特定されたもののように、不均衡な腸内細菌叢が心臓の発達にどのように役割を果たすかを示していると強調している。
ペダーセン教授は「これまでの研究によって、心臓病の発症のさまざまな段階での不均衡な腸内細菌叢が、より植物主体でエネルギーが管理された食事を食べ、喫煙を避け、毎日の運動を順守することによって修正し、部分的に回復できることが示されています。腸内細菌叢の役割の蓄積された証拠を、心臓病の発症および死亡の予防または遅延に焦点を絞った公衆衛生イニシアチブに変換する時が来ました」とペダーセン教授は述べている。
出典は『ネイチャー医学』。 (論文要旨)
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2024.09.24更新
メルスモンは、1956年より、更年期障害乳汁分泌不全の治療薬として、開発されました。
内分泌調整作用や自律神経調節作用によって、ほてり、のぼせ、イライラなどの更年期症状を改善する効果が
期待できます。
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2024.09.24更新
女子高校生になったら、肌を美しくしましょう。
ビオスリー配合錠(腸内環境を整えることにより整腸作用、腹部膨満感に有効)
タチオン(美白効果) ハイチオール(肌の代謝改善とシミ、ソバカス予防)
ビオチン(水溶性ビタミンB],肌や髪の健康を守る)
トコフェノール(抹消循環改善、手足を温め、しもやけに有効)
シナール(ビタミンシー:美白、免疫亢進、抗がん作用)
トランサミン(美容内服:高プラスミン剤、のどの痛み、抗炎症、肌の荒れを抑制)
チョコラA(ビタミンA:目を麗しく)
ハイチオール(シミを防ぐ、メラトニン抑制、肌のターンオーバーを正常化しシミを緩和します。)
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2024.09.24更新
経鼻カテーテルを用いてメトホルミンおよびブドウ糖を十二指腸へ投与するという検討の結果、ブドウ糖より先にメトホルミンを投与した方が、糖代謝に対してより良好な影響が生じることが明らかになった。アデレード大学(オーストラリア)のCong Xie氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に4月1日掲載された。
メトホルミンの血糖低下作用には複数のメカニズムが関与しているが、食後血糖上昇抑制作用に関しては、GLP-1の分泌刺激も関与していると考えられている。ただし現在のところ、メトホルミン投与のタイミングを変えることで、食後の糖代謝に及ぼす影響がどのように変化するかという点は、よく分かっていない。Xie氏らはこの点について、経鼻十二指腸カテーテルを用いてメトホルミンとブドウ糖の投与タイミングを30分ずつずらすというクロスオーバー試験により、血糖値およびGLP-1とインスリンの分泌量への影響の差異を検討した。
研究の対象はメトホルミン単剤で比較的良好な血糖コントロールを得られている2型糖尿病患者16人(平均年齢69.9±1.9歳、男性14人、BMI28.7±1.0、罹病期間10.4±2.6年、HbA1c6.6±0.1%)。ブドウ糖投与の60分前、30分前、0分前(同時)という3時点のいずれかに、メトホルミン1,000mgを含む50mLの生理食塩水(プラセボ条件では生理食塩水のみ)を、経鼻カテーテルを用いて十二指腸にボーラス投与し、ブドウ糖は0~60分に3kcal/分の速度で投与。ブドウ糖投与の60分前から投与120分後まで30分おきに、血糖値、GLP-1、インスリンを測定して推移を比較した。
なお、3時点での投与手技は全条件で毎回行い、実薬を投与する時点以外にはプラセボを投与した。これらは全て、二重盲検下で行われた。また、各条件の試行には7日以上のウォッシュアウト期間を設けた。
ブドウ糖投与後120分間での血糖上昇曲線下面積(AUC)は、メトホルミンを60分前(7,908±353mg/dL・分)および30分前(8,388±360mg/dL・分)に投与した2条件では、メトホルミンとブドウ糖を同時に投与した場合(9,306±405mg/dL・分)よりも有意に低値だった。GLP-1については、メトホルミンをブドウ糖投与の60分前または30分前に投与した場合のみ、プラセボ条件に比べて有意な上昇が認められた。インスリン分泌量は、プラセボ条件以外の3条件間に有意差がなく、メトホルミン投与によって同程度に上昇していた。ブドウ糖投与後のインスリン感受性(Matsuda index)は条件間に有意差がなかった。
これらの結果に基づき著者らは、「経カテーテル的にメトホルミンやブドウ糖を十二指腸に投与する場合、ブドウ糖投与に先立ってメトホルミンを投与した方が、血糖値の上昇幅が抑制され、またGLP-1分泌量が増加する」と総括している。
なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
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2024.09.23更新
今や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザなどの迅速抗原検査はすっかり普及した感があるが、検査は、症状が現れてからすぐに行うべきなのだろうか。この疑問の答えとなる研究成果を、米コロラド大学ボルダー校(UCB)コンピューターサイエンス学部のCasey Middleton氏とDaniel Larremore氏が「Science Advances」に6月14日報告した。それは、検査を実施すべき時期はウイルスの種類により異なるというものだ。つまり、インフルエンザやRSウイルスの場合には発症後すぐに検査を実施すべきだが、新型コロナウイルスの場合には、発症後すぐではウイルスが検出されにくく、2日以上経過してから検査を実施するのが最適であることが明らかになったという。
Middleton氏らは、呼吸器感染症の迅速抗原検査がコミュニティー内での感染拡大に与える影響を検討するために、患者の行動(検査を受けるかどうかや隔離期間など)やオミクロン株も含めたウイルスの特性、その他の因子を統合した確率モデルを開発した。このモデルを用いて検討した結果、新型コロナウイルスの場合、発症後すぐに迅速抗原検査でテストした際の偽陰性率は最大で92%に達するが、発症から2日後の検査だと70%にまで低下すると予測された。発症から3日後だとさらに低下し、感染者の3分の1を検出できる可能性が示唆された。
この結果について研究グループは、「すでにほとんどの人が新型コロナウイルスへの曝露歴を有しているため、免疫系はウイルスに曝露するとすぐに反応できる準備ができている。そのため、最初に現れる症状は、ウイルスではなく免疫反応によるものだと考えられる。また、新型コロナウイルスの変異株は、ある程度の免疫力を持つ人に感染した場合には、オリジナル株よりも増殖スピードが遅い」と説明している。
一方、RSウイルスとインフルエンザウイルスに関しては、ウイルスの増殖スピードが非常に速いため、症状の出現後すぐに検査を実施するのがベストであることが示唆された。
Larremore氏は、最近では新型コロナウイルス、A型およびB型インフルエンザウイルス、およびRSウイルスへの感染の有無を1つの検査で同時に調べることができる「オールインワンテスト」が売り出されるようになり、また、薬局や診察室でも複数のウイルスを一度に調べるコンボテストが行われていることを踏まえ、「これは悩ましい問題だ。発症後すぐの検査だと、インフルエンザウイルスとRSウイルスについてはある程度のことが明らかになるが、新型コロナウイルスについては時期尚早だろう。だが、発症から数日後では、新型コロナウイルスの検査には最適のタイミングだが、インフルエンザウイルスとRSウイルスの検査には遅過ぎる」と話す。
また、Larremore氏は、「新型コロナウイルスの抗原検査の場合、疑陰性率が高過ぎると思うかもしれないが、抗原検査はウイルス量が多く、周囲の人にうつす可能性のある人を検出する目的で作られたものだ」と指摘。その上で、「感染者の3分の1しか検出できなくても、最も感染力の強い3分の1を診断できれば、感染を大幅に減らすことができる」と説明している。
一方、Middleton氏は、最近、米疾病対策センター(CDC)が検査と予防のガイドラインを、「仕事や社会に復帰しても安全かどうかを判断する前に、もう一度、検査をするべき」という内容に改訂したことについて、「より理にかなった内容になった」との見方を示す。同氏は、「以前の方針の『発症後5日間の隔離』は、ほとんどのケースで必要以上に長かったと思う」と話している。
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2024.09.21更新
末梢動脈疾患(PAD)とは、主に脚の血管が詰まって血流が悪化する病気です。以前は“閉塞性動脈硬化症へいそくせいどうみゃくこうかしょう”や“下肢慢性動脈閉塞症”と呼ばれていました。
血管には動脈と静脈があります。動脈は酸素や栄養素を含んだ血液が心臓から全身へ送り出される際に通る血管、静脈は全身に送られた血液が心臓へ戻る際に通る血管です。
末梢動脈疾患では、心臓に栄養を送る冠動脈以外の主に手足を走行する動脈(末梢動脈)が狭くなったり詰まったりします。足の動脈で発症する病気は下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)と呼ばれ、発症初期には歩行時にお尻や脚に痛みを伴う“間歇性破行かんけつせいはこう”という症状がみられます。病状が進行すると、痛みによって歩行できる距離が短くなったり、安静にしているときにも指先が痛んだりします。さらに、足にできた傷が治りにくくなり、壊死えしすることもあります。
末梢動脈疾患の原因はさまざまですが、喫煙習慣、糖尿病、脂質異常症、高血圧などによって動脈が硬くなり、血流が悪くなったり詰まったりしやすくなる“動脈硬化”によって発症することがあります。
発症が認められた場合には、運動や禁煙などの生活習慣の改善や糖尿病などの基礎疾患を治療するとともに、病態に応じてカテーテル治療や外科手術が考慮されます。
原因
末梢動脈疾患の原因の多くは動脈硬化です。また、ほかに血管炎や神経疾患、薬剤の影響によって発症することもあります。
動脈硬化には大きく“粥状硬化じゅくじょうこうか”と“中膜硬化”があります。粥状硬化は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが血管内に蓄積し、“プラーク”と呼ばれる物質になって血管を狭くしたり詰まらせたりする状態を指します。一方の中膜硬化では、血管の中膜と呼ばれる部位にカルシウムが蓄積し血管が硬く変化します。いずれも高血圧や糖尿病、肥満、運動不足、喫煙習慣などが原因で発症します。
動脈硬化を認める場合、心筋梗塞しんきんこうそくや脳梗塞などの循環器疾患を合併しているケースもあります。
症状
典型的な症状として、発症初期には歩行後に太ももやふくらはぎ、お尻などの下半身が痛む間歇性破行という症状が出現します。
初期症状である間歇性破行は数年間持続することが多いとされています。この期間に適切な治療を受ければ症状をコントロールすることが可能です。しかし、病状が進行すると安静時にも下半身に痛みを自覚するようになり、歩ける距離が短くなります。
また、脚が心臓よりも低い位置にあるときは、脚の皮膚が暗赤色に変化することがあります。そのほか、脚を上げると皮膚の色が白っぽくなり、痛みが悪化することもあります(Raynaud現象)。さらに、血流の悪化に伴って足にできた傷が治りにくくなり、壊死することもあります。
その一方で、軽症で安静にしていることが多い場合などは無症状で経過するケースもあります。また、一部の症例では痺れや関節の痛みなど非定型的な症状がみられるケースもあります。
検査・診断
症状から末梢動脈疾患が疑われる場合には、両方の腕と足関節での血圧測定(足関節上腕血圧比:ABI)や、超音波検査(エコー検査)、造影剤を用いたMRA検査*やCT検査などが行われます。
さらに、重症度の判定や治療方針決定のため、皮膚の上から血流を測定する検査を行ったり、カテーテルを用いた検査を行ったりすることもあります。
*MRA検査:MRIを用いて脳の血流を画像化し、血管の状態を確認する検査
治療
末梢動脈疾患に対する治療では、生活習慣の改善や薬物療法などの包括的な治療管理を行うほか、病態に応じて血行再建術といった手術療法が行われます。
日常生活指導
末梢動脈疾患では、動脈硬化を引き起こす原因となる喫煙習慣や運動不足を改善する必要があります。そのため、禁煙指導や状態に応じた運動療法などの生活指導が行われます。
薬物療法
日常生活指導などによって症状が十分に改善されない場合には、薬物療法を行います。
Raynaud現象が認められる場合には、下肢の動脈を広げて血流を改善する“血管拡張薬”や、血液を固まりにくくする“抗血小板薬”などを用いた薬物療法を行うことがあります。また、基礎疾患として高血圧や糖尿病、脂質異常症を認める場合には、それらに対する薬物療法が行われます。
血行再建術
生活習慣の改善や薬物療法によって十分な効果が期待できない場合などは、血行再建術が考慮されます。血行再建術にはカテーテルを用いたものと外科手術があり、病気の状態によって選択されます。
カテーテルによる血行再建術(EVT)では、動脈硬化によって狭くなったり閉塞したりしている血管をバルーンで広げたり、メッシュ状の筒状の器具(ステント)を留置したりすることで血流を改善します。
一方、外科手術では、閉塞している血管を避けてほかの血管をつなぎあわせて人工的に血流路を作る“バイパス術”や、閉塞した血管を切開して血栓や硬化した内膜を直接取り除く“血栓内膜摘除術“などが行われます。
補助療法
血行再建術などの治療を行っても症状が十分に改善されないケースでは、症状緩和などを目的とした補助療法を行うことがあります。
補助療法には、脊髄せきずいに微弱な電気刺激を与えて慢性的な痛みを緩和する“脊髄刺激療法”や、血流や動脈硬化の改善を目的に血液内のLDLコレステロールなどを専用の装置を用いて除去する“LDLアフェレーシス”などの治療法があります。
このほか、“遺伝子治療”や“細胞治療”などの一部が先進医療または保険診療として日本でも導入されています(2024年1月時点)。
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2024.09.21更新
概要
労作性狭心症とは、心筋(心臓を構成する筋肉)に酸素と栄養を送る“冠動脈”の一部が狭窄きょうさくする(狭くなる)ことで、運動中など心筋の酸素必要量が多くなるときに一時的に心筋が酸欠状態に陥る病気のことです。普段は自覚症状がないものの、階段の上り下りや軽い運動後など心臓のはたらきが活発になる際に、胸の痛みや締め付け感、吐き気などの症状が引き起こされます。通常は安静にして心拍数が落ち着けば数分で症状は落ち着いていきますが、冠動脈の狭窄が強くなると、このような“胸痛発作”が頻繁に起こるようになります。そして、最終的には冠動脈が完全に詰まって心筋が壊死えしする“心筋梗塞しんきんこうそく”に進行することもあるため、注意しなければならない病気のひとつです。
冠動脈が狭窄する主な原因は高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や喫煙習慣などによる動脈硬化であり、発症した場合は治療とともに生活習慣の改善も必要となります。
原因
労作性狭心症の根本的な原因は、心筋に酸素と栄養を送る冠動脈が動脈硬化によって狭窄することです。冠動脈が狭くなったからといって急激に症状が現れることはありません。しかし、階段の上り下りなど“労作”が生じると、心臓は全身により多くの血液を送ろうと活発に活動するようになります。そのため“労作”の後は心筋が活発にはたらき、多くの酸素と栄養が必要な状態になるのです。その際、冠動脈の動脈硬化で心筋に十分な血液が行きわたらない状態になると、一時的に心筋が酸欠状態に陥り“胸痛発作”を引き起こします。
冠動脈が動脈硬化を引き起こす原因は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や喫煙習慣、肥満などが挙げられ、多くはこれらのリスクがいくつも積み重なって発症します。
症状
労作性狭心症は階段の上り下り、重たいものの持ち上げ、坂道の歩行などの軽い運動をすると胸の痛みや圧迫感が生じ、安静にすれば数分以内で症状が治まるのが特徴です。
胸の痛みは心臓のある左前胸部にとどまらず、左肩、腕、首、顎、歯、上腹部などにも響くように放散するのが特徴で、なかには胸の痛みは感じないものの、別の部位の痛みのみを感じるといったケースもあります。これらの痛みの程度は人によって異なりますが、重度なケースでは冷や汗が出るほどの苦痛を感じることも少なくありません。
また、痛みや圧迫感のほかに吐き気や息苦しさ、めまいなどが生じることがあり、典型的な“胸痛発作”の症状が現れないことも多々あります。
検査・診断
労作性狭心症が疑われるときは次のような検査が行われます。
心電図検査
心筋の動きを電気的に捉えて、体表面から波形として記録する検査です。
心電図検査では心筋が酸素不足の状態に陥ると特徴的な波形が記録されるため、労作性狭心症の診断に必須となる検査です。
ただし、労作性狭心症は労作時でなければ心筋の酸素不足は起こらないため、安静時に記録する通常の心電図のほかにも運動した後に心電図を記録する“運動負荷心電図検査”を行うのが一般的です。
心臓CT検査
造影剤(血管が描出しやすくなる薬)を注射しながら心臓のCT画像を撮影することで、冠動脈の状態を描出することができる検査です。冠動脈は三次元で描出することができ、狭窄している部位や程度などを評価することができます。
冠動脈造影検査
脚の付け根や手首などの太い動脈からカテーテル(医療用の細い管)を挿入して心臓まで至らせ、そこから造影剤を注入することで冠動脈を描出する検査です。心臓CT検査よりも冠動脈の状態を詳細に調べることができます。ただし、体への負担が大きな検査であるため全ての患者に行われるわけではなく、カテーテル治療などを行う必要があるなど重症なケースで実施されます。
心臓超音波検査
心臓の動きや機能などを調べる検査です。労作性狭心症は胸痛発作を繰り返していくなかで心臓の機能が低下することも多いため、心臓の状態を評価するために行われます。
治療
労作性狭心症では重症度に応じて次のような治療が行われます。
薬物療法
冠動脈の狭窄が比較的軽度な場合には、冠動脈を広げたり心臓の活動性を低下させたりする薬を用いた薬物療法が行われます。また、冠動脈の動脈硬化の進行を予防するには、抗血小板薬の内服のほかに原因となる生活習慣病を改善するための薬が必要です。
カテーテル治療
冠動脈の狭窄が強く心筋梗塞に移行するリスクが高い場合には、カテーテル治療が行われます。カテーテル治療は、脚の付け根や手首などの太い動脈にカテーテルを挿入して冠動脈まで到達させ、狭窄した血管をバルーン(医療用の風船)で膨らませて広げたり、血管の内部に血管を広げる“ステント”を留置したりするなどの治療が行われます。
治療後はステントの周囲に血栓(細かい血の塊)ができるのを予防するため長く抗血小板薬を服用しなければなりませんが、最近はその期間も短くなりつつあります。体への負担は極めて少なく低侵襲ていしんしゅう治療といわれています。労作性狭心症を根本から改善することが可能です。
バイパス手術
カテーテル治療が困難な部位に狭窄が起きていたり、狭窄が複数か所にわたっていたりする場合に行われる治療です。
胃や腕、脚などから採取した血管や人工的に作られた血管で冠動脈が狭窄した部位の迂回路を形成します。大掛かりな手術が必要になるため、体への負担は非常に大きくなりますが、労作性狭心症を根本的に改善することができます。最近は、ロボット支援手術や、MICSと呼ばれる小さな切開で行う治療が可能になり、低侵襲治療が可能になってきています。
予防
労作性狭心症の根本的な原因は、冠動脈の動脈硬化です。
そのため、労作性狭心症を予防するには食事や運動習慣などの生活習慣を整え、喫煙習慣などを改める必要があります。また、定期的に健診などを受けて、動脈硬化の原因となる生活習慣病の有無を確認し、生活習慣病を発症しているときは適切な治療を続けていくことも大切です。
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2024.09.21更新
◆心不全は根本的な治療法がない疾患ですが、心臓血管内皮細胞が分泌する IGFBP7 というタ
ンパクが心不全を増悪させることを発見し、ワクチンで IGFBP7 を中和することにより、モデ
ルマウスの心不全を改善することに成功しました。
◆本研究ではワクチンで心不全にアプローチするというこれまでにない治療法を世界に先駆け
て開発しました。
◆ワクチンは、安価に製造できまた、接種も容易であるため、日本のみならず世界のあらゆる
場所で心不全の治療に役立つ可能性があります。
ワクチンで心不全を治療
概要
東京大学大学院医学系研究科 先端循環器医科学講座の加藤愛巳特任助教、野村征太郎特任
准教授、小室一成特任教授、先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス&メディシン分野の
油谷浩幸シニアリサーチフェロー(東京大学名誉教授)らの研究グループは、心不全モデルマ
ウスを用いて、世界で初めて心不全ワクチンの開発に成功しました。本研究では、心臓血管内
皮細胞(注 1)が分泌する IGFBP7(注 2)というタンパクが心筋細胞のミトコンドリア代謝を
抑制し、心不全を引き起こしていることを明らかにしました。さらに、IGFBP7 に対するワクチ
ンを大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座の中神啓徳寄附講座教授らと共同開発
しマウスに投与したところ、心不全モデルマウスの心臓の機能が改善しました。これにより、
ワクチンで心不全増悪因子の働きを抑制することで、心不全を治療するというこれまでにない
新しい心不全治療法の可能性が示されました。本研究成果は、日本時間 7 月 12 日に米国科学
誌「Circulation」に掲載されました
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2024.09.20更新
2023年11月22日、補体(C5)阻害薬ジルコプランナトリウム(商品名ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ、同皮下注23.0mgシリンジ、同皮下注32.4mgシリンジ)が薬価収載された。同薬は、9月25日に製造販売が承認されていた。適応は「全身型重症筋無力症(ステロイド薬又はステロイド薬以外の免疫抑制薬が十分に奏効しない場合に限る)」、用法用量は「成人に、次に示す用量を1日1回皮下投与する。体重56kg未満は16.6mg、56kg以上77kg未満は23.0mg、77kg以上は32.4mg」となっている。
重症筋無力症(MG)は神経筋接合部のシナプス後膜上にある、いくつかの標的抗原に対する自己抗体の作用により、神経筋接合部の刺激伝達が障害されて生じる自己免疫性疾患である。自己抗体のアセチルコリン受容体(AChR)抗体と筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体が、MGの病因として病原性を認められており、日本のMG患者全体の約80~85%はAChR抗体陽性とされている。さらに、日本のMG患者のうち、約20%は眼筋に症状が限局した眼筋型MG(眼瞼下垂、複視など)、残りの約80%は広く随意筋に障害が及ぶ全身型MG(運動、発語、嚥下および呼吸障害など)に分けられている。
現在、全身型MGの薬物治療としては、プレドニゾロン(プレドニン他)などの経口ステロイドを中心に、タクロリムス水和物(プログラフ他)やシクロスポリン(ネオーラル他)といった経口免疫抑制薬、アンベノニウム塩化物(マイテラーゼ)などの抗コリンエステラーゼ薬、血漿交換、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン(献血ヴェノグロブリンIH)、乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン(献血グロベニン-I)、遺伝子組換え製剤の抗補体(C5)モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス)およびラブリズマブ(ユルトミリス)、遺伝子組換え製剤の抗胎児性Fc受容体抗体フラグメント製剤エフガルチギモドアルファ(ウィフガート)などが臨床使用されている。
ジルコプランは補体成分C5を阻害する、15個のアミノ酸から構成される大環状ペプチドである。既存のC5阻害薬エクリズマブやラブリズマブが静注製剤であることに対し、日本初の自己注射が可能な皮下注製剤である。
全身型MGは、主に自己抗体がAChRに結合することでC5などの補体が活性化し、シナプス後膜に膜侵襲複合体(MAC)が形成される。MACが蓄積することで運動終板が破壊、神経伝達の抑制により発症する。ジルコプランは補体C5に結合し、C5aおよびC5bへの開裂の阻害による下流の補体活性化の抑制、並びにC5bとC6の結合阻害によりMAC形成と細胞溶解活性を抑制する。
抗AChR抗体陽性の18歳以上の全身型MG患者を対象とした、国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)において、同薬の有効性および安全性が確認された。2023年9月に、日本において世界初となる承認を取得した。
重大な副作用として、重篤な感染症(1.4%)、膵炎、重篤な過敏症(各0.5%)が報告されている。その他の副作用として、主なものに注射部位反応(内出血、疼痛など:22.2%)、感染症(上気道感染、上咽頭炎、副鼻腔炎、尿路感染など:5%以上)などがある。また、重大なものとして、髄膜炎菌感染症の可能性があるので、十分注意する必要がある。
薬剤使用に際して、下記の事項についても留意しておかなければならない。
●抗AChR抗体陽性の患者に投与すること(添付文書の「効能又は効果に関連する注意」の項を参照)
●原則として、投与開始の少なくとも2週間前までに、髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること(添付文書の「効能又は効果に関連する注意」の項を参照)
●投与開始12週後までに症状の改善が認められない場合には、他の治療法への切り替えを考慮すること(添付文書の「用法及び用量に関連する注意」の項を参照)
●投与中は、定期的に膵酵素(血清アミラーゼ、血清リパーゼ)を測定し、上昇が認められた場合には、適切な処置を行うこと(添付文書の「重要な基本的注意」の項を参照)
●自己注射の適用に関しては、添付文書の「重要な基本的注意」を参照すること
●承認までの治験症例が極めて限られていることから、有効性及び安全性に関するデータ収集のために、全使用症例で使用成績調査を実施すること
●医薬品リスク管理計画書(RMP)では、重要な潜在的リスクとして「重篤な感染症」が挙げられている
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