2025.02.21更新

<過敏性腸炎>
概要
過敏性腸症候群とは、精神的なストレスや自律神経バランスの乱れなどによって腸のはたらきに異常が生じ、便秘や下痢など排便の異常を引き起こす病気のことです。
排便の異常の現れ方は人によって異なり、絶えず下痢が続くケースもあれば、便秘と下痢を数日ごとに繰り返すケースもあります。また、腹痛やお腹の張りなどを伴うことも多く、中にはトイレから離れられず日常生活に支障をきたすようなケースも少なくありません。
日本人の10%程度は過敏性腸症候群であるとされており、この病気は決して珍しいものではありません。多くは過度なストレスや緊張などによって引き起こされると考えられていますが、原因がはっきり分からないケースも多々あり、治療が難しいこともあります。
また、過敏性腸症候群は検査をしても腸に器質的(目に見える)な異常が見られないことも特徴の1つです。そのため、病気のつらさの理解を周囲から得られず、悩みを抱えるケースも多いと考えられています。
原因
過敏性腸症候群の明確な発症メカニズムは現在のところ解明されていません。
一方で、腸のはたらきは脳からつながる神経と密接に関わっていて、脳腸相関といわれています。この脳腸相関の異常が過敏性腸症候群の発症に関わっているとするのが現在の見解です。
たとえば、消化管に分布する自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経には腸の動きを抑えるはたらきがあり、副交感神経は腸の動きを活発にするはたらきを担っています。この交感神経と副交感神経はそれぞれバランスを取り合いながら腸の動きを調節していますが、ストレスや疲れなどによってバランスが乱れると腸の動きに異常が生じ、下痢や便秘を引き起こしやすくなるのです。また、同時に腸の痛みを感じる知覚神経が敏感になることで、お腹の痛みや張りなどを感じやすくなると考えられています。
そのほか、過敏性腸症候群は感染性胃腸炎にかかった後に発症しやすいことも分かっています。微細な炎症によって腸の粘膜が弱くなり、腸内細菌に変化が生じることで腸のはたらきに異常が生じるとの説もあります。


原因は未解明も…
脳と腸の密接な関係からくる症状も
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ツムラ

症状
過敏性腸症候群はお腹の痛みや張りなどの不快な症状とともに、下痢や便秘などの便通異常を引き起こす病気です。症状の現れ方や重症度は人によって異なり、特に便通異常の現れ方によって“下痢型”・“便秘型”・“混合型”の3つのタイプに分けられています。
“下痢型”はストレスや緊張などのわずかなきっかけによってお腹の痛みと激しい便意とともに下痢を生じることが特徴で、特に通勤などトイレに行けない状況のときに発症しやすいとされています。
一方、“便秘型”では便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こります。なお、“混合型”は便秘と下痢が交互に繰り返されることが特徴です。
このような症状が3か月以上続く場合に過敏性腸症候群が疑われますが、いずれのタイプもストレスや疲れなどがたまると症状が悪化し、就寝中や休日などは症状が現れにくいとされています。また、排便すると一時的に症状が改善することも特徴の1つです。
多くの方はこれらのお腹の症状や便通の異常とうまく付き合いながら生活していますが、重症の場合には頻回な下痢のため電車に乗れない、外出できないなど生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。


過敏性腸症候群の様々な症状
• 下痢と便秘を交互に繰り返す
• お腹がよく痛くなる
• お腹が張りやすい
• 緊張するとお腹が痛くなりやすい
• etc.
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検査・診断
過敏性腸症候群は特徴的なお腹の症状や便通異常が生じるため、特別な検査をせずに問診だけで診断が下されることも少なくありません。
しかし、なかには思いもよらない腸の病気が潜んでいる可能性もあるため、重症の場合や治療をしても症状が改善しない場合は次のような検査を行うことがあります。
血液検査
血液によって、腸の炎症の有無などを調べるための検査です。また、便通の異常はがんや甲状腺の病気などによって引き起こされることもあるため、必要に応じて貧血や甲状腺ホルモン値を調べる検査を行うことも少なくありません。
便潜血検査
便の中に血液が混ざっているかを調べる検査です。便通の異常を引き起こす大腸がんや大腸ポリープ、炎症性腸疾患などの血便が生じる病気の可能性を探るために行われます。
画像検査
腸の状態を調べるため、X線検査やCT検査などを行うことがあります。これらの画像検査により腸閉塞などの器質性疾患を調べることができます。
大腸内視鏡検査
大腸の内部を内視鏡で詳しく観察することができる検査です。がんや炎症性腸疾患など便通の異常を引き起こす病気が疑われる際に行われます。
治療
過敏性腸症候群の症状を改善するには、規則正しくストレスや疲れをためない生活を心がけることが大切です。そのため、軽症の場合は治療せずに生活改善を行いながら経過を見ていくケースも少なくありません。
生活改善を行っても症状が改善しない場合や症状が強い場合には、それぞれの症状を緩和させるための薬物療法が行われます。
過敏性腸症候群は、精神的な要因によって発症・悪化することが多いため、抑うつ気分などがあるときは、抗うつ薬や向精神薬などが用いられることもあります。また、薬物療法でも精神的な症状が治まらない場合は、カウンセリングなどの精神療法が必要となるケースも少なくありません。
<予防>明確な発症メカニズムは解明されていないため、残念ながら確実に効果のある予防法は現在のところはっきり分かっていません。
しかし、過敏性腸症候群はストレス、疲れ、睡眠不足、運動不足、高脂質な食事、過度な飲酒など生活習慣の乱れが発症や悪化に大きく関わっていると考えられています。
過敏性腸症候群を予防するには規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠と休養を取ってストレスや疲れがたまりにくい習慣を身につけるようにしましょう。

投稿者: 大橋医院

2025.02.20更新

この論文に着目した理由
 子どもや若者の間でのスクリーンタイムの増加によって、メンタルヘルスへの影響が懸念されています。スクリーンタイムには、動画視聴、ビデオゲーム、テキストメッセージのやり取り、ビデオ通話などが含まれますが、過剰なスクリーンの使用は、睡眠、運動、対面での社会的交流といった活動に費やす時間を減少させる可能性が指摘されています。

 本研究は、大規模な思春期脳知能発達(ABCD)研究データを使用し、9-10歳の子どもを対象に、スクリーンタイムとメンタルヘルス症状(抑うつ、ADHD、行動障害など)の関係を2年間にわたり検討しているため着目しました。

私の見解
 本前向きコホート研究は、スクリーンタイムが思春期の子どものさまざまなメンタルヘルス症状と関連していることを明らかにし、特に、抑うつ症状との関連が強いことが示されています。また、ビデオ通話、テキストメッセージのやり取り、動画視聴、ゲームが抑うつ症状との関連が最も強いスクリーン活動であることが判明しました。さらに、これらの影響は人種によって異なり、白人の子どもでは黒人やアジア系の子どもよりも強い関連が見られました。

 本研究の大規模なサンプルサイズと縦断的デザインは、試験の信頼性を高めていますが、評価が自己申告によるスクリーンタイムおよび親が報告した症状に依存しているため、報告バイアスが生じる可能性があります。また、社会経済的要因や既存のメンタルヘルス状態などの交絡因子を完全には考慮していない点も課題でしょう。

日常臨床への生かし方
 本研究から、スマホやタブレットの使用が子どものメンタルヘルスに影響を与えることが示唆されました。また、従来の報告から近業作業時間の増加は、近視の進行を促進してしまいます。両者を考えると、適切なスクリーンタイムの管理が子どものメンタルヘルスや近視の進行管理にとって重要でしょう。

 さらに、長時間のスクリーンタイムが子どもたちのメンタルヘルスにも影響することを周知し、必要に応じて心療内科や精神科への紹介を行うことで、より適切な介入を行うことができると考えました。

投稿者: 大橋医院

2025.02.01更新

<核エネルギーを平和利用に>  被爆者2世 大橋信昭
2023年度の地球上に存在する核弾頭の総数は12,520です。保有国は、米国、ロシア、フランス、英国、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9か国です。いや、2025年度では、核保有国はさらに増大しようとしているはずです。アインシュタインに聞いてみたいのですが、この核エネルギーは、無限に広がる産業社会に、石炭や石油では、補給不足で、世界の環境保全を考えても、必要になってしまったのですか?決して、ダイナマイトから続く、進歩していく戦争の兵器になってはいけないのです。
 紀元前、人間が文明生活を始めてから、世界で戦争がどこの地域にも、一瞬たりとも無くなったときはありません。地球儀を見てください。ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア、アフリカ、日本を含めてニュージーランド、アフリカ諸国、太平洋、大西洋に浮かぶ離島を、観察してみると、無限の民族が狭い地球にひしめき合い、言語は異なり、宗教も複雑で、争いは絶えたことはありません。どうして、この惑星は、多民族でもいいから、単一言語で、争いのない日々にならないのでしょうか?胸が痛みます。
 私のいとこは被爆者2世です。彼の母は17歳の1945年8月9日は、爆心地に近い、今は平和公園がありますが、その近くの防空壕の一番深いところで友達とトランプ遊びをしていました。防空警報が鳴ってから、かなりの時間がたち、一緒にいた町内の成人の人達は、もう外に出て、姿を見せません。安心して友達と防空壕から外へ出ました。そこには衝撃的な世界が広がっていました。景色はすっかり変化してしまい、近所の人達は、はるか遠くへ飛ばされた様子で、恐怖心で反射的にが郊外、田舎、島原が思い立ち、一目散で走り続けました。必死で避難しようとしても、死体の山です。その下の中から手が出て足をつかまれ、瀕死の人が「水をください!」こんな時は平常心ではいられません。足を振り切り、島原へ一直線です。アメリカ軍が上陸するという流言が聞こえ、女は強姦されると、泣き叫ぶ人がいました。彼女を含め女性たちは、髪の毛を道端で見つけたハサミでできるだけ、坊主頭にし、二日かけて、飲まず食わずでしたが、ともかく近くの優しそうなお百姓さんの家に飛び込み一か月かくまってもらったのです。お百姓さんに充分お礼を述べ、長崎へ帰っていったのです。目についた長崎は、壊滅、焼け野原で、家族の一人と偶然、一週間後逢うことができました。家族は離散状態でしたし、実家は焼けてしまい長男は箪笥の下敷きになり、犠牲になるところを、残った家族は見ていましたが、彼女の兄は「俺のことにかまわずに早く逃げろ!」と怒鳴りました。心を鬼にして逃げるしかなく、残った家族は兄弟姉妹9人、夫婦のうち半分以下ということです。お爺さんも犠牲者です。残った家族で再建、生活をいていくしかありません。原爆の悲惨さは霧がありませんが、いとこのことを述べさせてもらいます。
彼の母は17歳で被爆し、卵巣、卵子のDNAにかなりの変異を受けているはずです。その証拠に彼と妹は、心房中隔欠損症であることが後でわかりました。この病気は、心房中隔に穴が開き、動脈と静脈が交じり合う病気で、放置すれば、アイゼンメンジャー症候群といって、肺高血圧、心不全、不整脈で早死にします。運よく、病気が見つかり昭和53年に妹が、55年に彼が心房中隔の穴をふさぎ、動脈と静脈の交わりを無くしました。東海地方では名古屋大学附属病院第一外科しか手術しているところはなく、手術は成功し、やがて令和5年になっています。奇形は心臓だけではなく、脊椎、鼻中隔、外耳道にもあり、何とか克服し、彼は医師として、開業医として、自分の苦しかった闘病生活を克服し、逆に、患者さんの治療に全力投球しています。悲しいかな、妹は3年前に突然死しました。彼息子は心室中隔欠損症があり、、孫たちも肺静脈還流異常症です。彼の家族の恥を公表するのは原子爆弾が、傷痍爆弾やライフル銃による貫通創ではなく、被災者一代で解決することではなく、その被害は孫の代々迄続行することです。極めて悪質な兵器です。1945年の広島、長崎の爆弾と違い、2025年の核爆弾は一発地球に投下したら、全人類が消滅するかもしれません。それぐらい核兵器は恐怖を増し強力になっています。それをいいことに、核保有国は、自国を守る、他国を脅かすことを公言していますが、核爆弾を敵国に投下したら、自国も地球全体が廃墟になってしまうのです。それを知りながら、ロシアのプーチンの発言は狂気です。核爆弾を2発も投下されたのは日本だけです。その悲惨さを日本は世界一知っています。GHQから強制された憲法を戦後80年も変えないのは世界では日本だけです。世界から核兵器を戦争の道具じゃなくて、平和に利用するように、何故おとなしくしているのですか?今も被爆者は日本に何千万人とこれから生まれる被爆者の怖さも含めて、声を大にして、実際に行動すべきです。政府に任せているだけでいいでしょうか?何か、世界を真剣に改心させる、行動させる方法を考え、日本は戦うべきではないですか!言葉にも限界があります。頑張らねばいけません!(完)

投稿者: 大橋医院