<家庭医の愚痴> 大橋信昭
平成元年に開業して、36年になるね。もうだいぶ慣れたけど、36歳での開業は早すぎたよね。人生修業が足らなさすぎる。もう今、71歳のお爺さん医師だけど、どんな患者さんが来ても、落ち着いて客観的に診療ができると思う。
若いときは、がむしゃらに頑張ったね。特に在宅の看取りだね。住み慣れた自宅で、昇天していく患者さんを、家族が傍にいて、私も間に入って命がけだった。しかし、社会が大きくこんなに変化したからね。老々介護の世界、独居老人の増加、患者さんの死亡年齢も若いときには50歳代は早いが60歳代や70歳代の見取りが多かった。人口構造が、ピラミット構造であったからね。90歳以上の患者さんなんて珍しかったからね。郊外に大型スーパーができ、街中の商店街は、シャッターを閉め、独居老人ばかりだよ。私は、大垣幼稚園、大垣市立東小学校、大垣市立東中学校の校医をやっているけど、年々入学者が減り、今年の東小学校の一年生の入学検診は50人少々なのだよ。信じられない。PTAが怖くて、パワハラだとか、昔聞いたことがない流行語がはやり、先生は生徒を叱れなくなってしまっているみたい。僕たち校医も「馬鹿もの!」なんて禁句だよ。「そんなことしてはいけませんよ」僕の小中学生時代は先生のピンタなんて珍しくなかったけど、今じゃ解雇だよ。給食もまずい脱脂粉乳を飲まされて、残すことはいけないことだったけど、今は食物アレルギーがばっちり検査してあって、給食も食べられるだけ食べなさいという指導なのだよ。働き方改革何て世間が騒ぐものだから、先生も割り切って自宅へ早めに帰るし、しかしストレスが多いから、教員のなり手がいない!僕たち校医も集団予防接種がなくなり、内科健診と教育委員会で活躍しないと、仕事がないんだよ。
話は飛ぶけど、いま日本は75歳以上の老人が圧倒的に増加して、五木寛之も93歳でまだ原稿に追われ、現役の作家だし、80歳代、90歳代がいっぱい現役活躍しているのだからね。この間、肺炎の予防接種を注射した95歳の老人が「先生、今日はトレーニングジムに言っていけませんか?」と質問してくるからね。80歳代の独居老人も、転職ばかりしている20歳代から50歳代より、ずーと元気なんだね。今人口構造は、逆ピラミッドになっている。おばあさんたちは力強いからね。外来でお嫁さんの悪口を散々ぼやいて、どこが悪いかわ、分からないうちに帰宅し、翌日お嫁さんにお逢いすると、とてもいい人でおばあさんの体を心配なさっている!この二人は大岡越前にでも聞かないと、事実はわかりません!僕の診察室は病気を見るところなのに、みんな勘違いしていない!
スマホは人を狂わせたね。不登校、就職拒否、閉じこもりでスマホ中毒になっている。僕みたいな開業医には、スマホにそこまで打ち込む価値があるのか!人生棒に振っちゃったじゃないか!
若い人は小さいころから叱られていないので、弱い精神構造だね。すぐに会社辞めて転職、しかし若い人の経済状態が悪いのもあるが、結婚に対する夢は男女ともにないみたいだね。50歳の独身の息子が働いて80歳代の母親が嫁さんみたいに世話をしている。女性は一人の方が気楽だという。これじゃ少子化は進むばかり!お爺さんはお嫁さん(おばあさん)が先立たれると悲しみの絶頂で後を追うようにすぐになくなる。お爺さんに先だれたおばあさんは、青春が帰ってきたように百歳まで人生を楽しむ。今百歳が、大垣市で50人以上、全国で8万7千以上、今年100歳になったおばあさんが私の所へ来て「先生!大好き!」といって抱き着いてくるけど、これが若い女性の色気ムンムンならうれしいけど、複雑な気持ちだね。五木寛之は本に書ていたけど、65歳以上の老人軍と若もの軍と、別れて戦争でもすると何かがはっきりするって。日本人同士で止めてよ!
2025.03.25更新
家庭医の愚痴
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