2025.03.24更新

<同級生>      大橋信昭
1)ある日曜日の夕暮れ、私と同級生で友達関係の綺麗な貴婦人が彼女の夫を診察してくれと電話が入った。良いよ、つれてきなさいと軽く応答した。しかし、そのご主人は強い背部痛を訴えられており、胃癌の末期であり、全身転移あったことによる骨傷みであった。彼女から夫の昇天を聞かされたのは数週間後であった。しかし、私は同級生の眉毛にある異常な彼女の湿疹を見逃さなかった。早速、皮膚科に紹介状を書いて受診させた。生検後「サルコイドーシス」という返事であった。私が医師になり、勤務医のころサルコイドーシスの終末期の女性の主治医になり、全身にサルコイド―シス結節が広がっており、内科医の諸先輩の手助けを受け、全力で救命しようとしたが、かなりきつい苦悶様症状の末、他界した記憶がある。彼女をもう一度中核病院へ紹介しなおし、全身チェックをしたが、症状は眉毛の上の湿疹のみであった。今もなお、定期的に外来診察しており、中核病院と綿密に連携している。夫も亡くしたばかりであり、顔の表情はさえない。仲の良い同級生だから、気をつけながら冗談を言い合い、笑いを診察におこるようにしている。サルコイドーシスの悪化がおきないことを願う。
2)私とは小学生からの同級生であるが、成績は彼の方がはるかによく、勉強の大逆転は無理であった。しかし、ある日、私の診察室へ来たとき、あまりにも酒の匂いがひどく、糖尿病、冠状動脈疾患、高脂血症、高血圧症であった。メタボリック症候群である。私はこれらの疾患をそれぞれの全国的に有名な医師に紹介した。返事は極めて悪く、奥さんを呼びつけると、定年退職後は、朝から浴びるように酒浸りで、テレビの番で、運動も食事療法もしていないとのことであった。こんな生活をしていると、閻魔大王がお怒りになり、浄土か地獄へ落ちるので、総合病院へ紹介して、一から体作り,治療の再計画を頼んだ。私の言うことは、親しすぎて医学的アドバイスは全く聞いてくれない。奥さんは悲しそうに神様と叫んでいる。
3)この男性も、小学生からの友人であり、自宅に「少年探偵団」の本全館があるので、あそびがてらその本を乱読していた。ある日、右下腹部がいたいと深刻な顔をして、診察室に座ったので、真剣に、痛むところを触診した。腫瘤があるではないか。すぐに中核病院へ任せた。やはり大腸癌で比較的早期で、腫瘤摘出後、人工肛門をつけた生活を強制された。私とは仲が良すぎるので人工肛門を見せるのを多いに嫌がった。やがて時が流れ、消化器専門医の治療もよく、人工肛門も外れ、腫瘍摘出後、化学療法、放射線療法で腫瘍は消失した。私の所には高血圧で一か月に一回顔を合わせ、定期的に大腸がん専門医にも診察を受けている。やれやれである。
4)その女性は労作後、息切れがするという、あまり口を交わしたことがない同級生である。諸検査の結果慢性心不全であり、心房中隔欠損症も見つかった。今は、昔と違い、胸骨は切開せずに、カテーテルで中核欠損を埋めるだけであった。しかし心不全は悪化の一途をたどった。今、BNPという心不全の便利な指標がり60以下で正常が、1200ぐらいであった。私と中核病院の主治医が、緊急入院を命令した。彼女曰く、私には愛犬がおり、だれも面倒を見てくれないので入院は出来ませんと全く理屈、常識はずれの返事であった。早かった、一週間新聞が玄関にたまっているので、近所の人が警察へ連絡したところ、風呂場で死んでいた。突然死である。何故か過去の死にTDp(Torusa  de poien)というフランス語がつかわれている。心室細動で死んだのだが、警察が入り込み事件から自然死という判断に時間がかかった。
5)中学2年、3年生と同じクラスメートであり、「痰が絡み、呼吸か息苦しく、喘息でもあるのか、全身倦怠感があるといった。」早速レントゲン撮影をしたが驚いた。全肺が真っ白でありどこで酸素を補給しているのかという状態であった。すぐに彼は毎日の百本の喫煙が何よりも楽しみであるといった。僕は怒った。これでは24時間酸素付であり、呼吸医の専門医に本格的な治療が絶対必要であり、禁煙であると命令した。彼は急に血相を変え、僕のおじいちゃんは毎日120本の喫煙を楽しみに96歳まで長生きをした。禁煙なんて無茶苦茶なことを命令しやがって、こんな診療所は来ないと、彼は一気に脱出した。その後お逢いしていない。なんの音沙汰もない。電話を一回でもして元気かと尋ねなければ行けないが、あまりにも無礼であり、知らん顔である。医師は感情に左右されずにベストを尽くさねばいけないが、私が修行不足である。同級生が良く来るが、人生百年といえども自分の体は定期的検診、良い生活習慣をせねば、お釈迦様が早くお邪魔をし、浄土の世界へ早く誘拐するかもしれない。お気をつけて!(完)

投稿者: 大橋医院