2024.10.10更新

中国中南大学のJie Wei氏らは、英国のプライマリ・ケア・データベースを利用して、2型糖尿病と痛風がある患者を対象に、糖尿病治療薬が痛風の再燃に与える影響を調べるコホート研究を行い、SGLT2阻害薬で治療した患者群は、GLP-1受容体作動薬またはDPP4阻害薬で治療した患者群に比べ、痛風の再燃リスクや総死亡率が低かったと報告した。結果は2023年8月25日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 現在の痛風診療ガイドラインは、尿酸降下薬を長期間使用して、痛風の再燃予防を推奨している。しかし、高尿酸血症があっても尿酸降下薬を処方されていないなど、最適な治療が実施されているとはいえない状況が報告されている。また、尿酸降下薬を使用している患者のアドヒアランスが低いことも、痛風の再燃につながりやすい。

 2型糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬は、糖尿病患者だけでなく、糖尿病ではない患者においても、主要な心血管有害イベントと総死亡リスクを減らすことが示されている。また、SGLT2阻害薬は血清尿酸値の低下にも関係することが分かっている。しかし、SGLT2阻害薬が、痛風の再燃や痛風患者の死亡リスクを減らすのに役立つかを調べた研究は報告されていなかった。そこで著者らは、痛風と2型糖尿病がある患者を対象に、SGLT2阻害薬と他の糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬またはDPP4阻害薬)を用いた治療が、痛風再燃と総死亡率に与える影響を比較するコホート研究を計画した。

 

投稿者: 大橋医院