シャーガス心筋症におけるアミオダロンまたは植込み型除細動器:CHAGASICS無作為臨床試験
Martinelli-Filho M et al. JAMA Cardiol. 2024 Oct 2:e243169.
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背景
年間10,000人以上のシャーガス病患者が心臓突然死(SCD)を経験しており、そのほとんどは心室細動が原因である。アミオダロン塩酸塩と植え込み型除細動器(ICD)は、慢性シャーガス心筋症患者のSCDを予防するために経験的に使用されてきた。慢性シャーガス心筋症で、Rassiスコアで評価した死亡リスクが中等度から高度の患者において、全死亡の一次予防にICDがアミオダロン療法よりも有効であるという仮説を検証する。ClinicalTrials.gov NCT01722942。
方法
CHAGASICSは非盲検無作為化臨床試験である。2014年5月30日から2021年8月13日までブラジルの13施設から患者を登録し、2021年11月8日を最終追跡期間とした。シャーガス病の血清学的所見が陽性で、Rassiリスクスコアが10点以上(中リスク~高リスク)、非持続性心室頻拍が1エピソード以上ある患者が参加対象となった。データは2022年5月3日から2023年6月16日まで解析された。患者はICDまたはアミオダロン(無作為化後に600mgをローディング投与)を投与される群に1:1で無作為に割り付けられた。主要アウトカムは全死亡で、副次的アウトカムはSCD、心不全による入院、追跡期間中のペースメーカーの必要性などであった。この試験は管理上の理由で早期に中止され、無作為化された患者は323例(アミオダロン群166例、ICD群157例)であった。解析はintention to treatで、追跡期間中央値は3.6年(IQR, 1.8-4.4)であった。平均(SD)年齢は57.4(9.8)歳、185例(57.3%)が男性、平均(SD)左室駆出率は37.0%(11.6%)であった。
結果
死亡はICD群で60例(38.2%)、アミオダロン群で64例(38.6%)であった(ハザード比[HR]、0.86[95%CI、0.60-1.22]、P = 0.40)。SCD(6例[3.8%] vs 23例[13.9%];HR、0.25[95%CI、0.10-0.61];P = 0.001)、ペーシングを必要とする徐脈(3例[1.9%] vs 27例[16.3%];HR、0.10[95%CI、0.03-0.34];P < .001)、心不全による入院(14[8.9%] vs 28[16.9%];HR、0.46[95%CI、0.24-0.87];P = 0.01)は、アミオダロン群と比較してICD群で少なかった。死亡リスクが中等度から高度の慢性シャーガス心筋症患者において、ICDは全死亡リスクを低下させなかった。しかし、ICDはアミオダロン療法と比較して、SCD、ペーシングの必要性、心不全による入院のリスクを有意に減少させた。この試験で得られたエビデンスを確認するためにはさらなる研究が必要である。
原文を読む
Amiodarone or Implantable Cardioverter-Defibrillator in Chagas Cardiomyopathy: The CHAGASICS Randomized Clinical Trial.