皮膚筋炎・多発性筋炎とは
皮膚筋炎・多発性筋炎(dermatomyositis/polymyiositis: PM/DM)とは自己免疫疾患の一つで筋肉や皮膚、肺を中心に全身に炎症が生じる疾患です。特徴的な皮膚症状がみられる場合を皮膚筋炎、皮膚症状を伴わない場合を多発性筋炎と呼びます。
症状・検査
体に近い筋力の低下、筋肉痛、特徴的な皮疹が生じます。咳や軽い動作での息切れがある場合は肺病変(間質性肺炎)が合併している可能性があり、急速に病気が悪くなることがあるため、早期に治療が必要となります。その他、全身倦怠感・関節痛・発熱がみられることもあります。悪性腫瘍が合併する場合、体重減少、食欲不振がみられることもあります。
検査では筋症状がある場合、筋肉の酵素であるクレアチンキナーゼ(CK)が上昇します。免疫の検査として筋肉の症状が強い病型、肺病変の割合が多い病型、悪性腫瘍の合併率が多い病型など、病型によって特徴的な自己抗体が検出されることがあり、診断や治療方針の決定に有用となります。その他、筋症状の評価として徒手筋力テスト、筋電図検査、肺病変の評価としてCT、呼吸機能検査、6分間歩行テストを実施し、活動性を総合的に評価します。
診断
筋症状、特徴的な皮膚症状を主として自己抗体や画像検査などを行い診断します。筋症状のみの場合は神経疾患との区別が難しい場合があり、筋肉の組織を取ること(筋生検)で確定診断となる場合もあります。皮膚筋炎・多発性筋炎は指定難病のため重症度に照らした上で医療助成の対象となることがあります。
治療
第一選択はステロイド治療です。肺病変が急速に進行すると考えられる場合は早期から免疫抑制薬を併用します。また、筋症状に関しては全身状態に合わせて早期からのリハビリテーションが重要となります。悪性腫瘍が合併している場合は悪性腫瘍の治療を同時または筋炎の治療に先行して行うこともあります。
生活上の注意点
免疫抑制治療のため、感染症に注意する必要があります。体調不良が続く場合は早めに医療機関に受診するようにして下さい。ステロイド内服量が多い場合は生活習慣病のコントロールが悪くなることがあるため、規則正しい生活をこころがけて下さい。悪性腫瘍の合併率が他の疾患に比べて高いと報告されており、定期的ながん検診を行う必要があります。
主治医への相談のポイント
妊娠・出産を計画している場合(内服薬調節の必要がある場合があります)、筋症状や呼吸器症状が悪くなった場合(病気が悪くなっている可能性があります)、食欲不振や体重減少がある場合(悪性腫瘍合併の可能性があります)、発熱や倦怠感がある場合(感染症の可能性があります)は早めに主治医の先生に相談をしましょう。