2024.09.21更新

◆心不全は根本的な治療法がない疾患ですが、心臓血管内皮細胞が分泌する IGFBP7 というタ
ンパクが心不全を増悪させることを発見し、ワクチンで IGFBP7 を中和することにより、モデ
ルマウスの心不全を改善することに成功しました。
◆本研究ではワクチンで心不全にアプローチするというこれまでにない治療法を世界に先駆け
て開発しました。
◆ワクチンは、安価に製造できまた、接種も容易であるため、日本のみならず世界のあらゆる
場所で心不全の治療に役立つ可能性があります。
ワクチンで心不全を治療
概要
東京大学大学院医学系研究科 先端循環器医科学講座の加藤愛巳特任助教、野村征太郎特任
准教授、小室一成特任教授、先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス&メディシン分野の
油谷浩幸シニアリサーチフェロー(東京大学名誉教授)らの研究グループは、心不全モデルマ
ウスを用いて、世界で初めて心不全ワクチンの開発に成功しました。本研究では、心臓血管内
皮細胞(注 1)が分泌する IGFBP7(注 2)というタンパクが心筋細胞のミトコンドリア代謝を
抑制し、心不全を引き起こしていることを明らかにしました。さらに、IGFBP7 に対するワクチ
ンを大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座の中神啓徳寄附講座教授らと共同開発
しマウスに投与したところ、心不全モデルマウスの心臓の機能が改善しました。これにより、
ワクチンで心不全増悪因子の働きを抑制することで、心不全を治療するというこれまでにない
新しい心不全治療法の可能性が示されました。本研究成果は、日本時間 7 月 12 日に米国科学
誌「Circulation」に掲載されました

投稿者: 大橋医院